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俺の説明を黙って聞いていた彼女は、息を一つ吐く。
「ふう……最後のバナナ? その辺はどうでもいいとして――」
「そうですか……」
俺的にはあのバナナが糞不味かった事の方がよっぽど裏切られた気持ちで、凄く重要な気がしたのだが。
決して俺が馬鹿だからとか、そんな切ない理由では無く価値観の違いであると補足しておこう。
「ともかく、よくもまあ……”ビャッコ”を手なづけたわねぇ。貴方何者?」
「ビャッコが何か分かりませんが、俺は”阿竹守人(あたけもりと)”です。魔法使い候補です」
「へぇ……変わった名前だね。私は”ミレイア・ハングーバ”よ。守護警備部隊に所属しているわ」
互いに自己紹介はつつがなく終わった――かに思えた。
「ていうか、ビャッコを知らない……? 魔法使い候補……」
俺の言った自己紹介の一部が気になるのか、ブツブツと呟くミレイア。
もしかして、この世界には魔法があるのだろうか?
「魔法使えるの?」
「いえ。30歳を過ぎなければ使えません」
「――変わってるのね……」
会話がすれ違っている事に、ミレイアは気づいていない。
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