13899人が本棚に入れています
本棚に追加
/275ページ
薄紫色の全身を覆った鱗から、垣間見える赤い液体。
力無く横たわる目の前のそれは、以前は悠々と歩いていただろうと、発達した筋肉から容易に想像出来る。
血走った目をこちらに向け、口からだらしなくこぼれた舌。
絶命していると悟らせるに充分。
ポチの体長は、尻尾まで入れて3メートル弱。
大凡倍近いドラゴンを軽々と引きずり、俺の目の前に”ドヤッ!”とした顔をしながら置いた。
「…………」
言葉が出ない。
『ニャ?』
『クエッ?』
二匹が首を傾げる。
「――火とかありますか?」
生肉だけは避けたい。
俺、こう見えて胃腸弱いんだよね。
『ニャッ!』
首を縦に振ったポチは、口から火を――
「――吹いちゃった……」
さすがは魔物――と言った所か。
最初のコメントを投稿しよう!