砂漠に落ちた少年

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 薄紫色の全身を覆った鱗から、垣間見える赤い液体。 力無く横たわる目の前のそれは、以前は悠々と歩いていただろうと、発達した筋肉から容易に想像出来る。  血走った目をこちらに向け、口からだらしなくこぼれた舌。 絶命していると悟らせるに充分。  ポチの体長は、尻尾まで入れて3メートル弱。 大凡倍近いドラゴンを軽々と引きずり、俺の目の前に”ドヤッ!”とした顔をしながら置いた。 「…………」  言葉が出ない。 『ニャ?』 『クエッ?』  二匹が首を傾げる。 「――火とかありますか?」  生肉だけは避けたい。 俺、こう見えて胃腸弱いんだよね。 『ニャッ!』  首を縦に振ったポチは、口から火を―― 「――吹いちゃった……」  さすがは魔物――と言った所か。
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