砂漠に落ちた少年

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 猫科の動物って、何でかとても可愛らしい。 即ち―― 「――可愛いは正義!!」  虎をキュッと抱きしめる。 嬉しそうに喉を鳴らす虎は、長年飼い続けた猫のように懐いている。 「ていうか、お前って虎なの? 尻尾3本あるけどさ」 『キュゥ?』 「――まあ、可愛いから何でもいいや」  そうして暑さも忘れて虎と戯れていると、次第に意識がぼんやりとしてくる。 失念していたのだ――砂漠だと。 「あれ……頭がぼーっと……」  前のめりに倒れ、意識が遠のいていく。 ここで寝たら死ぬだろうが、どうしようもない。 『――っ!?』  虎の驚いた様子が、俺の最後に見た光景だった。
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