Epilog

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鬼塚は 全身に火傷を負い 緊急手術をしてから ずっと入院治療を受けていた。 あの爆発の中 鬼塚は助かったのだ。 彼を助けたのは 爆発の直前に起きた 地震である。 その地震で天井から 崩れ落ちてきた岩が 月影と鬼塚の間に 壁を作った。 酷い火傷は負ったものの まともに爆発に 巻き込まれていたら 鬼塚の体は 月影と同じように 木っ端微塵だっただろう。 それは本当に奇跡としか 言い様のない生還だった。 『具合は…?』 おずおずと刺鋭が聞くと 鬼塚は何も言わず ほんの少しだけ 首を動かし頷いて見せた。 それからゆっくりと 隣に立つ小夜子に 視線を向けた。
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