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「君らが…無事で良かった…」
『鬼塚さん……』
刺鋭が目を伏せた。
石田の顔が微かに歪む。
鬼塚は今回の大怪我と
年齢的な問題もあり
もう二度と現場には戻れない。
その事を
石田から聞いて
刺鋭も知っていた。
「鈴木先生」
鬼塚が巻かれた包帯の隙間から
刺鋭を見た。
『はい……』
「彼女を…頼んだよ」
『……はい……!』
「石田くんも…な」
「鬼塚さん……」
石田は泣きたいのを
ぐっと堪えた。
あの時。
鬼塚が
自分の身を擲(なげう)って
助けてくれなければ
月影のすぐ横にいた
3人は間違いなく
死んでいただろう。
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