【S】

7/34
前へ
/1475ページ
次へ
「あれ…は…」 和也が呟くと 「物理の高木じゃね?」 確かに。隆二の言う通り、 いつもパリッとアイロンが かけられた白衣を身にまとい 黒ぶち眼鏡をかけてる 長身の男。 物理の教師、高木だ。 「けど、腕掴んだりして。 なんか雰囲気おかしくね?」 隆二が2人を見つめながら 和也に言うと 黙ったまま和也が2人の方へ 歩き出そうと一歩踏み出した。 ふいに。 高木がこっちに気付き 視線を向けると 小夜子の腕を引っ張り すぐ横にある物理室に 連れ込んでドアを閉めた。 「あっ…おいっ!?」 和也が慌てて 物理室に駆け寄ろうとした瞬間、 「早川!!宮崎!!」 和也たちを呼ぶ声が 後ろから聞こえた。 「なんだよ?」 振り返ると 生活指導の須藤が 怒った表情で仁王立ちしていた。 「ちょっと、職員室にこい!」 校内でも 一番うるさく 体育大学出身の須藤は 柔道も長年やり体格もよく 和也や隆二にとって やっかいな教師でもあった。 「今、立て込み中」 和也が物理室の方へ 視線を向けながら ぶっきらぼうに答えると ツカツカと2人のいる場所まで 須藤が歩いてきて ガシっと腕を掴んだ。
/1475ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8274人が本棚に入れています
本棚に追加