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.  ケンちゃんが東京へ行った二日後、私が五年勤めるその繊維工場が火事で全焼してしまい、直ぐ隣に建っていた木造の寮にも火が移り全焼してしまった。  突然のケンちゃんの転勤と工場と寮の火事。  私は気が動転していた。  ケンちゃんの住む東京の住所も連絡先もその時は知らされていなかったんだ。  このままケンちゃんと連絡が取れなくなるんじゃないか?  このままケンちゃんと二度と会えなくなるんじゃないか?  この時の私は、ただ不安という絶望にも似た気持ちに押し潰されそうだった。 .
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