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「ここは、ちぐはぐな世界なんだよ」
僅かに歪んだ唇はきっと、嘲笑だった。
「まるでおとぎ話の世界だ。だけど、どこか毒々しくて何でもあり。何より、僕の知る“ストーリー”通りには進まない」
まるで、全て知っているというかのような傍観者の声。
なのに、その瞳はひどく頼りない。
「無数のおとぎ話がまぜこぜになって、溶け合ったような……頭が、おかしくなる」
疲れたように呟いた彼は多分、この世界が嫌いなのだ。
世界が嫌いなら、彼は、誰の事も、そう。
自分の事すら、嫌いなのだろうか。
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