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俺は先生と会話のできる距離に移動する。
「桐谷先生こそ何か用事ですか?」
とりあえずぶっきらぼうに答えてみた。
「お前はほんと愛想ねえなー、もうちょっと愛想よくしたらモテモテだろうよ。」
余計なお世話だ。
「別にモテたくありませんから。」
俺は軽くそっぽを向いて答えた。
先生は口元に手の甲を当てて軽く笑う。
先生のいつも癖だ。
「ふ…ったくまあいいや、今日市の図書館から新しく本の寄付が届いたんだよ。」
先生はダンボールを積んだ台車を運ぶと、中身の本を手に取った。
俺も近づきダンボールの中身を確認する。
そこには俺が読みたかった歌集や生徒からのアンケートで
リクエストの多かった小説などいろいろな本が入っていた。
「相変わらずいいものを譲ってくださいますね。」
「そこの図書館で働いてる職員にうちの卒業生がいてな、いろいろ良くしてくれるんだ。まあ市のでっけー図書館だから本の入れ替えも多い、古い本を近隣の学校に寄付できれば処分する金もかからなくて助かるだろうしな。」
確かに本を処分するにも古紙としてリサイクルするにもお金や労力がかかる。
だが学校なら古紙にする手間もボランティアの一環として行ってくれる。
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