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「リョウター…俺お前に言わなきゃいけない事があるんだ。」
真剣な顔をしているジュンを俺は横目でみた。
ジュン越しに見えた窓の外は雪が降りはじめていて、とても寒そうにみえた。
あまり寒いのが得意じゃない俺にとって、冬という季節は苦手のひとつである。
そんなことを考えていると、
決心を決めたと言わんばかりのジュンのまっすぐな瞳が俺を写した。
俺はジュンの口からどんな言葉が出てくるのか想像がついていた。
「…しゅくだ」
「嫌だ。」
確信をもった俺はジュンの言葉をさえぎり結論だけ伝える。
ジュンのほうは言葉をさえぎられて口を開けたまま何度も瞬きをしている。
「…しゅくだい」
「嫌だよ。」
ほぼ同じやり取りが繰り返される。
「次は柏陵高校前…柏陵高校前…お降りの方はお知らせください。」
バスのアナウンスを聞き
ジュンの横にある降車ボタンを
押そうと少し身を乗り出すと
「…ケチ…。」
俺の目に写ったのは
絶望に浸るジュンの横顔だった。
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