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「ってことは、君も俺と同じ?」
「せや」
イケメンはそう言いながらチャリに股がる。
「なんでチャリなんだ? 遠いだろ」
「あー、別にいいだろ? 健康的だし、一時間位で着くんだから」
まぁ、ちょうどいいかもしれんが。これ以上会話する必要もないな。
「んじゃ、俺行くわ電車だし。じゃあな、チャリ少年」
「おう、じゃあな!」
別れの言葉をお互いに交わすと、チャリ少年はシャー! と俺の先をあっという間に行ってしまった。あぁ、名前聞いてないけど・・・。
「男だからいいや」
不純すぎる理由でその考えを捨てる。朝からとんだ災難であった。
それから10分ほど歩き駅に到着した。この時間は学生が多い。俺と同じ制服の者も居れば、違う制服の者もいる。
「いてて・・・。腕ちょっとだけ痛いな。マジあのイケメン許さねぇ」
そんな俺は真面目系クズ。
そう思っていると、電車の到着を知らせるアナウンスが響きその通りに電車が到着する。着々と学校へと近づいている。
その後は、普通通り通学路を歩きいよいよ学校の校門へと到着したのだ。公立高校にしては中々の規模で、四階建てだ。校舎内も広い。
「受験の時来たのとはまた違うな」
おっと、緊張してきた。俺の中学からは俺のみがここの学校へと来た。故に、ぼっち。
これから一年間過ごすであろう教室へと足を進める。そして、とうとう教室の前へ来たのであった。
「さぁ・・・。行くぜ!!」
ちょっとした気合を入れ、教室の戸を開ける。
中は、まぁ当然というか。人はいるがほとんどが自分の席へ座っている。少しだけ同じ中学であろう者同士がくっついているだけ。
「俺の席は、まぁ一番ですよね!」
俺の名は板谷。そう、『い』だ! 今まで出席番号一番は俺が居座り続けた俺のみの席。俺は当然のことだろうと思い、壁際の一番前の席に座る。
もちろん表情はクールぶってる。俺には悲しいことにコミュ力がないので誰にも話しかけずに黙々と時が過ぎるのを待った。
(暇くせぇ・・・。妄想するか)
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