前語り

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じゃあ、あれは一体誰なのだろうか。そんな疑問が頭をよぎる。 思い切って話かけてみようとも考えたが、流石にそれもためらわれた。 一応ストーキングされている側として、こちら側から話しかけるというのもどうかと思ったのだ。 そう少なくとも思っていたのだ。決して、俺から話しかけたというわけではない。 ――唐突かつ、我ながらおかしな入りではあるが、こういうしかないから仕方がないのだろう。 俺自身、物事を上手く話すのが得意ではない。 今から始める語りは、とある天使と指環のお話である。 なんだよ随分電波的な話だ、と思った奴もいるかもしれない。 否定はしない。実際、ストーカーだと思っていた美少女が実は天使だった、なんて、笑えない冗談そのものなのだから。 ……本当、笑えない冗談なんだよなぁ。
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