一章目

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暑いよりも寒い方がマシだ。 登校の最中、サンサンと照りつける太陽の下を歩きながらそう思った。 額からの汗を手の甲で拭う。 体から吹き出ている汗がYシャツを濡らす。体にへばりついている感覚が不快だった。 視線を感じて、周囲を見回す。そこにはやっぱり白いストーカーがいた。いつもと変わらない調子で、こちらを見つめている。 ここ一週間ずっとだ。 多少の薄気味悪さはなかったが、とりたてて何かをしてくるわけでもなし。 周囲からのツッコミもないし、ともすればストーキングではないのかもしれないという思いもあって、俺は声をかけるような真似はしていない。 そんな事をぼんやり考えていると、背後から肩を叩かれる。 「よ、何考えてんだ、田宮?」
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