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「なんだ、お前かよ古島……」
「人の顔を見るなりがっかりしたような口調でそう言うなよ」
肩を叩いてきた張本人は、そう言って苦笑しながら自分の大きな体を揺らした。こいつの名前は古島 悟。俺の友人であり、剣道部に所属している。
「いきなり後ろから肩を叩かれたら誰だってびっくりしないか?」
肩をすくめつつ、相手を見上げながらそう言った。
俺の背は低いわけではないが、古島の背は日本人離れしている。俺とは頭一つ分の差がある古島ときちんと目を合わせて会話をするためには、どうしても見上げる必要があった。
「そりゃすまんかった」
尚も微かに笑いながら古島は言う。
「しっかし、登校途中にそんなのんびりしてたら遅刻するぜ?」
そう言われて腕時計をチラリと確かめる。遅刻する、という時間まではかなりの余裕があった。
「悪いけど、まだまだ余裕だよ。お前が言っている時間がないって、それは剣道部の朝練に間に合わないってことだろう」
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