一章目

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両手を耳でふさいだその時、耳に何かが当たるような感覚。 薬指に、違和感を感じた。まるでそう、指輪がはまっているような感覚。 耳の違和感めいたものが収まると、俺は薬指を見た。 そこには、確かに指輪がはまっていた。銀色、何もつけられてなくて、何も掘られていない。小さくて簡素な、非装飾の指輪。 おもちゃなのかもしれない。 それから、俺は正面に注目する。いや、注目せざるをえなかったのだ。 何故ならそこには、さっきの登校途中の道で見た女の子が確かにいたから。 見間違いかと思い、目をこする。が、こすった後の視界が変わることはなかった。 「……なん……なんだよ?」
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