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先生に会釈して、地学室の入り口まで進む。廊下で、数人のクラスメイトがげらげらと騒いでいるのが見えた。彼らの目は、きっと透明で透き通っているだろう。たぬき先生ではない先生達も、誰も彼もが、きっとそう言うだろう。
では今、私の瞳は、透き通っているだろうか。単色のスペクトルが濁らせた瞳は、濁りを保ちながら透き通りはしないものなのか。そんなことを考えた。
後ろを振り向く。先生はもう穴ぐらに消えていて。微かにコーヒーの匂いがする。苦い香りが舌で転がって、ああいいな、と思った。先生のコーヒーを飲んでみたいと思った。そうして、もう、私は透き通った濁色になどなれないのだなと分かった。窓際のアンモナイトが、馬鹿にしたように机上に座っているのが見えた。
廊下では、まだクラスメイトの数人がぐずぐずとたむろしている。私は、その中の一人、できるだけ内気そうな男子を選んで、声をかけ、次の時間割を聞いて、群れに混ざった。
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