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チャイムが鳴る。
あわてて席に着く。すると、廊下側のドアからクラスメイトらが、木の床をぎしぎしと鳴らしながら入ってくる。思い思いの歩調に乗ったその音は、秩序無く騒がしい。生徒らのほとんどが教室に入ると、穴ぐらのほうからたぬき先生が現れる。先生の足音は、静かで、ゆったりとしている。
「はじめます」
先生が言う。
急に人が入ってきたせいで、酸素が薄くなった空気にめまいをもよおしながら、起立、と号令をかける。遅れてやってきた数人の生徒が、半ば転げるように机の前に駆けていく。
お願いします
少し間があって、数人が、お願いしますと続けた。私が冷ました空気が滑稽なのか、後ろで息を潜めた笑い声が聞こえる。下品な音がこれ以上地学室の静けさを侵すのがいやで、
着席。といい、笑い声を断ち切る。
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