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撮影2日目。
挨拶もしていないけど、私はユキさんと同じ絵の中に入る。
松谷くんと撮るよりも近い距離かもしれない。
傍目から見れば親友のようにって里村さんが注文くれるから。
「どうやってあのデザイナー落としたの?」
なんて撮られながら私の耳元に聞いてくれる。
表情は笑顔でカメラ目線。
しっかりポーズつくりながら。
…プロだ。
「モデルのオーディションから逃げようとしたら捕まっただけです」
私はありのままに答えたけど、そんなはずはないと思われている。
「昨日の夜、仕掛けてみたんだけどカタイの。まぁ、あのアキラだし、簡単にはいかないのはわかっていたんだけど。なんかコツあったりする?」
仕掛ける…って、やっぱりそういうこと…だよね?
どこかカナちゃんと似ている気がする。
里村さんは私にはキスもハグも簡単にしてくれる気がする。
コツなんてわかんない。
気に入ってもらうこと?
なんて考えていると撮影のこと忘れてしまっていた。
「ピカル、また唇、半開き。そのマヌケ顔はいらないから」
なんて里村さんが言って、まわりはいつものことのように笑う。
マヌケとは失礼なっ。
…マヌケな顔してたと思うけど。
私は表情を決めて、ユキさんに合わせるようなポーズをとる。
それでも主役は私となれるように、ユキさんより印象的であるように、がんばってみる。
見た目なら、もちろんユキさんの容姿のほうが目をひくだろうけど、ファニーフェイスはファニーフェイスでおどけてみせたりピエロになればいい。
でもたまにはかわいく撮ってもらいたいかも。
なんて気取ってみると里村さんにネタにされて笑われる。
悔しい。
確かにユキさんと並ぶと見劣りしているだろうなぁとは思う。
真っ白な肌、大きな目と綺麗な背筋。
腕も足も首も細くて綺麗。
長い髪もさらさらしてる。
花がある。
作り込まれた花。
「ねぇ?アキラを落とす方法教えてよ。さっきからアキラ、あなたにばっかりかまってる」
「どうして里村さんのことアキラって呼ぶんですか?」
「モデル名。教えてって言ってるでしょ」
「里村さんのモデル時代見てみたいかもです」
「…ちょっと。それってわざと?」
ユキさんは私を睨んで里村さんに注意された。
わざと。
かまってもらえてよかったじゃないか。
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