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わからないけど里村さんに気に入ってもらうには、いじりやすい虐めたくなるような子であることだと思う。 ユキさんには無理だと思う。 まだカナちゃんのほうがいいと思う。 私は緒方くんを落とす方法を教えてもらいたい。 午後からようやく春物撮影。 雪の中だけど春物。 「だから俺はモデルじゃないって言ってるじゃないですかっ。背もそこまでないし、顔も普通だし、体型も見たからに普通でしょうっ?なんで俺なんですかっ」 と、緒方くんはまた里村さんとやってる。 「前回の思いつきがよすぎた。これ」 里村さんも緒方くんを口説くのをがんばっているようで、いつ用意したのか、私と緒方くんのポスターサイズにされたものを出した。 あの水の中、手をひいてもらって私がじっと見つめてしまったやつ。 看板にされたのは握られた手だけ。 柔らかく、包むように引き上げる男の手と、それに重ねられた女の手。 だけど全体はこんなのだったのかと思うような、なんか恋人同士。 もちろん私は緒方くんを見つめてしまっていて、緒方くんの視線も私を見て柔らかく笑ってる。 …緒方くんが王子様みたい。 かっこいい。 そのポスター欲しい…。 私の部分は切り取ってやる。 恥ずかしすぎる。 「自分のブランドの服を着せてないのに何つくってるんですかっ。というか、そんなの恥ずかしいからやめてくださいっ」 「そこが失敗したんだ。だからメインに使えなかった。今度こそメンズ用意してあるから。よろしく」 「だからモデルじゃないって言ってるじゃないですかっ」 「君に着せるために作ったんだよ?採寸していないけど、君の親から情報はいただいた。裾の長さもぴったりなはずだよ。航に着せると短いだろうから君しか着れない」 「俺の親に勝手に連絡つけないでくださいっ。というか足短くて悪かったですねっ」 「あんまりごねるとまた飛び出すよ?1週間以上の滞在になるよ?」 「里村さんが俺に押しつけているんですよっ!」 なんていうのは続いた。 私のせいだとは思うけど、里村さんは緒方くんを気に入ってしまっている。 確かに…里村さんの服でそんな絵になるのは私と緒方くんくらいかもしれない。
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