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松谷くんとユキさんの撮影を見ながら、大人っぽいなぁと思う。
里村さんのデザインがそもそも大人。
松谷くんの着ている男物の里村さんデザインも大人っぽい。
私の好みかもしれない。
かっこいい。
カツラをつけられて、春らしいカラーの薄いニットを着て。
ニーハイとかわいいヒールの靴。
ひらひらしたスカートは短い。
ニットのだぼつき感がかわいい。
里村さんに手直ししてもらっていると、また太ももさわられた。
「ここになんかおきたいな。ガーターベルト?…太ももバンドみたいな?」
なんて独り言。
布とゴムを用意すると簡単に作ってくれた。
手首にもお揃いで。
前髪もいじられる。
私はマネキンかもしれない。
でもいやじゃない。
かわいくしてくれるから。
「里村さん、私にもなにか作ってください」
ユキさんが声をかけてきて、私と里村さんはユキさんを見る。
「…撮り終わってから言われても。それでいいんじゃない?僕がデザインしたまま。ピカルに着せるなら、胸元隠すものをおきたい気もするかな。少し開きすぎたか。谷間もうちょいつくれば…」
なんて私の目の前、おもむろに里村さんはユキさんの胸にふれて。
きゃあーってなりそうなところ、肉を寄せてあげてる。
…されたくないかも。
私は目を逸らす。
「こんなもんか。…どうしてこれがこうなるんだろ?」
って私を見られている。
「わ、私だって色気くらいありますっ。ユキさんより胸小さいかもしれないけどっ」
「ピカルの肉を寄せてあげてもこの服でこの谷間はつくれない。足も頼りないからカバーできるものつけるんだよ。もうちょっと太れ」
「ちょっと太ったらお腹の肉のこと言うじゃないですかっ」
「胸と足に肉をつけないで腹につけるからだよ」
「私だって胸に肉つけたいですよっ」
「里村さんのイメージではこの服を着るのはどんな女の子なんですか?」
私と里村さんを止めるようにユキさんは聞く。
そう。それ。
結局はユキさんみたいな子に着せること前提のくせになぜか私が専属モデル。
どうせ胸ないやい。
「イメージガールってやつね。…実はないんだよ」
「専属モデルじゃないんですか?」
「ピカルに合わせるようにはつくってない。僕が自由につくったものをピカルが着こなしてくれる。それだけ」
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