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「じゃあどうして彼女が専属モデルなんですか?他のスタッフはそれなりに名の売れた人を使っているのに」 「そこは僕がこのブランドをつくるまでに築いた人脈だ。…専属モデルについて聞くのはなぜ?」 「私も着こなせていると思います。彼女よりも」 「あぁ、それか。まぁ、10代にしては堂々としてるよね。君に求めているのは僕の専属モデルをどれだけ輝かせられるか。奪おうとしてくれてもいいよ。競いあってくれればいいものができる」 「…航に対してもそれですよね。キャリアあるモデルを使ってるって思わないんですか?」 「キャリアってなに?子供服からやってること?そんなもの僕にはなんの関係もない。僕は君に頭を下げたりはしない。対等に並ばせる気もない。そもそも18くらいのモデル連れてきてと頼んだだけで、君や航を名指しで呼んだわけじゃない。それが気に入らないなら帰ってくれてもいいよ?そのプライドは昨日の夜には見せなかったのにね。色仕掛けが通用しないからそうきたの?」 なんだかケンカっぽくなってきた。 私は里村さんとユキさんを交互に見て、言えることもなくて。 「君に仕事を与えているのは僕。その仕事の内容が気に入らないなら最初からキャンセルしてくれればよかったのに。…って、そういう目的じゃないでしょ?」 「帰ります。お金いらないので私の仕事すべてなかったことにしてください」 「君に使った時間は?僕がスタッフに払う経費は?違約金払ってもらえるのかな?事務所のほうに問い合わせるよ?モデルの仕事回してもらえなくなるよ? ……そこまでのものもないくせに高飛車になりすぎだよ。色気もたいしたことのない子供が」 里村さんがこわい…。 ユキさんは里村さんを睨み付けて、ユキさんの部屋に向かって歩き出した。 どうしよう? 私はまわりを見て、誰もこっちの話を聞いていなかったのを見て、ユキさんを追いかけようとした。 里村さんが私の腰に腕を回して引き留めた。 「ユキさん帰っちゃいますよっ?」 「いらないよ、あんな使いにくいモデル。航も帰そうか。ピカル、滞在期間、もうちょっともらっていい?撮り直すから」 なんだかここにきてから里村さんがぴりぴりしてる。 私は里村さんを振り返る。 「…散歩いきませんか?」 「…喜んで」
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