プロローグ

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かつて、人は科学技術の発達によりかつて無いほどの繁栄を見せた。 医療技術の発達により人の平均寿命とは先進国においては100を遥かに超えるものであり、一部の権力者にとってはなんの意味も持たない言葉であった。 脳の電子化を始めとした延命技術とは金さえ積めば容易に可能なものとなっていたのである。 当然、この電子脳はロボット工学からもたらされたものであり、高度人口知能搭載型従者型ロボットとは単なる「高級な家具」程度のありふれたものであった。 誰もが、この生活は永遠に続くものだと、そう信じていた。 終わりは唐突に訪れる。 戦争が起こった。 きっかけはわからない。 単なる小競り合いが大きくなったとか、土地を巡る争いとも言われている。実際、人口は100億を超えようとの不足は深刻だったらしい。 結果として戦争は世界全体を巻き込んだ全面戦争へと発展した。 こうして、人類は自らに繁栄をもたらした科学技術によって、自らの繁栄に終止符を打った。 後に残されたものは無数のガレキの山とかつての敵国に送り込まれたウイルスに感染し暴走したロボット達、廃墟となったビル群、汚染された大地。 そして、幸運にも生き残っていた人間達だった。 機械に頼りきっていたが故にかつての技術を失った人間は、ガレキの山からかろうじて使えるものを探し出し、その恩恵に預かることでなんとか生きながらえていた。
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