遭遇

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遭遇

 ミツが目を覚ました直後だった。  不意に横の茂みが大きく揺れた。掻き分けて現れたのは、目に異様な輝きをたたえた黒い獣の巨大な頭部だった。  ふたりは逃げる間もなく獣の口の中に吸い込まれた。  短い間ののち、獣はふたりを吐き出した。背負っていた栗のいがに喉を刺激されて咳き込む。  敵がひるんだ隙にウリは妹を抱えて走り出した。反射的に獣がそれを追う。
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