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例えるなら、
新しく買った片手鍋の注ぎ口の具合が悪くて、盛り付けの際に煮汁がいつも伝ってしまい矢鱈と使いにくいにも関わらず、
新調してしまった手前捨てる事も出来ず、厄介に思いつつも使ってるうちに、いつしかコツを掴んで煮汁を溢さなくなる。
更には、長い付き合いの間に、「もう、この鍋じゃないと落ち着かない」というような、
"変な愛着"が湧いてくるのと似ているかもしれない。
現に今の彼女は、
木枯らしの吹くこの季節、冷たくない座布団は寧ろありがたい。
なんて思っているのか、時計の電池を入れ換える仕草は、いつになく軽やかだ。
カチカチッと蓋を閉めて表を返せば、
11月5日(水)14:09
液晶のデジタル表示がハッキリと浮かび上がっていた。
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