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糸がぷつりと切れた様に、僕の意識は夢の中から弾かれ、目覚めた。 一瞬、自分が何処にいるのか解らなくなり、周りをキョロキョロと見渡す。 薄暗い中にぼんやりと映る小ぶりの段ボール、その上に載っている、電池の切れた懐中電灯、段ボールの壁の隙間を塞ぐ為のバスタオル、床に置いた醤油のボトル、防水ラジオ。 「はぁ」 僕は安堵の溜め息を一つついた。 これは紛れもなく僕の部屋だった。 顔がアゲハ蝶になった親父も、あの寒々しい部屋もなく、ただ見馴れた僕の部屋で僕は目覚めた、それだけだ。
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