明白な記憶

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なんか口が先走ってない? 大丈夫か私、まさかこんな図書館で巡り合った二人がイチャコラなんたらの心境になってない?まてまて本当に落ち着け。 「坂川さんどうかしたの? さっきから挙動不審っていうかなんか面白い事になってるけど」 私に顔を近づけて様子を窺う千葉木くん。 さりげない紳士的な所にクスリッと微笑む顔、こんなギャップに萌えない女子はいるのだろうか。 すでに私は鼻血でそうです。 「ごめんなさい、私そんな変な顔してました?」 「いや、そんなことはないよ。それとさっきの話に戻るんだけど、今の俺のお勧めはやっぱり、イザヨイシンヤの作品かな。 あの人が書く話には引き込まれるものがあるっていうか人間の心理とか感情とか綺麗に表されて表現とかも個性的ですきなんだよね。 坂川さんは?」 「わ、私は恋愛小説ばっか読んでるかな。甘かったり、重かったりなんでもかたぱっしから読んじゃってるからお勧めとかあまりないな、ごめん」 勿論の事恋愛小説とは秘蔵のボーイズラブ小説である。 「謝らなくていいよ、こっちこそなんか語っちゃったし」
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