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「いいの?死んじゃって?」
-------え?
確かに聞こえたその声の方を向く。
すると入口付近の壁に寄り掛かり、腕組みをしている影が見えた。
声の低さからして男らしい。
「いいの、もう。この世に未練なんてこれっぽっちもない。」
彼にそう最後の言葉を返し、振り返ろうとしたとき。
いきなりグワンと頭が揺れたと思ったら、視界がぼやけ、足元がふらついた。
------嗚呼。
神様は私をまともに死なせてもくれないの?
いまだ頭が揺れ平行感覚を失った私に、重力に逆らいバランスを立て直すことは無理だった。
視界がぼやけている中でスローモーションのように景色がみえた――――
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