24 二人きりの夜、初めての朝

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そう言って、小さく笑う先輩の事を改めていとおしく感じながら、少しずつ箱を開くと。 「……きれい……」 思わず言葉がこぼれる。 先輩からのプレゼントは華奢なシルバーのチェーンにハートのペンダントトップの、可愛らしいネックレス。 きらりと、ペンダントトップの右上に埋め込まれているブルーの石がさりげなく光っている。 「気に入ってくれた?」 「はい……っ。 ありがとうございます。 ……嬉しいです」 嬉しくて、たまらなくて。 乾き始めていた涙の跡を、新しい滴が音もなくたどる。 「良かった。 ……着けて見せて」 「あ、……はいっ」 ほっと胸をなで下ろしながら、ふんわりと笑う先輩に誘われる様に。 私は受け取ったばかりのプレゼントを肌に乗せてみる。 普段ネックレスを身に着ける事がない為、少し手間取ってしまったけれど、先輩は、そんな姿さえも微笑みながら待ってくれて。 「可愛い。 よく似合ってる。 ……間に合って良かったよ。 愛也の誕生石がサファイアって知って仕事の合い間にいろいろ見に行ったんだけど、なかなか見つからなくて焦った」 「……ありがとうございます」 苦笑いを浮かべながら、今日までの出来事を話す先輩。 ……ただでさえ忙しい日々を送っているのに、そこまで考えてくれたなんて。 「そのネックレスは即決だったよ。 見た瞬間、愛也にぴったりだなって思ったから」
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