6330人が本棚に入れています
本棚に追加
一部始終を見ていた優には、また行こうねと告げて。
クラス全員分のプリントを抱えた私は一人、職員室へと向かった。
「失礼します。
永井先生は、いますか?」
職員室の出入り口から声を掛けるも、永井先生の姿はなく。
代わりに美術の先生が答えてくれた。
「永井先生ならさっき出て行ったわよ。
特進クラスのテストを、回収しに行くって。
確か、2年A組よ」
…え。
教えておいてくれたら、最初からそっちに持って行ったのにな…。
その情報にがっくりしつつ、私は特進クラスのある校舎へと、足を進める。
職員室から渡り廊下へ、そこから2年生の教室までは、意外と距離がある。
……はあ。
「いやあ、悪かったな。
職員室に居たんだが、急きょ代理を頼まれてな。
助かったよ。
気をつけて、帰りなさい」
情報通り、永井先生は2年A組に居て。
私がプリントを手渡すと、頭に手を当てながらバツが悪そうにそう言った。
最初のコメントを投稿しよう!