9真実

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『…私、行きます。 先輩と会って、話してきます』 『……ありがとう。 できる事なら空港まで送ってあげたいんだけど、仕事の引き継ぎや打ち合わせがあって、どうしても抜けられないの。 直生は今日、事務所のスタッフと出国するわ。 今、空港へ向かってるはずよ』 『分かりました、駅から、バスで向かいます。 ……大嶋さん。 ありがとうございます。 先輩と私を…、向き合わせてくれて。 絶対に、無駄にしません』 『…直生をよろしくね』 『はい!』 大嶋さんとの電話を終えると、私は、着替えたばかりのパジャマを脱ぎ、初デートで着たワンピースを身にまとった。 先輩の目に入った時に、少しでも気づいてもらえる様に。 そして急いで目元と口元に簡単にメイクをした。 時計に目をやると、時刻は3時を回っていて。 …ここから駅までは、30分。 駅から空港までは、高速が混んでいなければ2時間だ。 なんとか間に合いそう。 『お母さん、ごめんなさい。 帰ったらちゃんと話すから…』 心の中でそう呟いて、携帯と財布ポーチが入った鞄を手に私は部屋を後にした。
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