10 告白

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「はい、どうぞ」 「あ…、ありがとうございます」 ガチャ…と、先輩が開けてくれた後部座席のドアから、私は車内に乗り込む。 黒い革張りのシートに、ゴミ一つない車内。 ほのかに香る、芳香剤。 多忙な先輩がくつろいで過ごせる様に…そんな、事務所の気配りが感じられた。 「一緒に来たサブマネージャーは先に空港に向かったんだ。 20分くらいなら、大丈夫」   と言いながら、先輩は後部座席に一人分のスペースを開けて、腰を下ろす。 「……」 「……」 どうしよう。 ただ、会いたい一心で来ちゃったから…二人きりになると、何から話せばいいのか分からない…! 「…俺、愛也ちゃんに謝らないといけない事が…ある。 この間のデートの日、急に怒ったり、あんな所で力任せにキスしたり…理由も言わずにしばらく会う事やめようって言って、避けたりして…ごめんね」 「……」 真っすぐに自分の本音を口にする先輩に、私は耳を傾ける。 「泣かせたり、悩ませたり…。 俺と関わったら、愛也ちゃんにはそういう思いをさせ続けてしまう って思ったから、距離を置いた。 ずるいよね。 ただ、あの時の俺は…、他に思いつかなかったんだ」 「……」 自然と、俯いてしまう。 どんな話か予想はしていたけれども……、実際に聞くと、やっぱりショックだ。 「…今は、そうして良かったって思うんだ」
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