10 告白

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…どうしたんだろう……何かあったのかな。 先輩からの、予想外の電話を不思議に思いながら、私は震える携帯を手に急いで待合室を出て、自販機から少し離れた場所に立った。 『も…もしもし』 『今、電話して大丈夫?』 『はい、大丈夫です』 と返した瞬間。 飛行機の案内を知らせるアナウンスが先輩の後ろから、聞こえて。 空港にいるんだから当然なのに、なんだか急に先輩を遠く感じた。 『大事な事、言ってなかった。 明日からしばらく会えないから、良い子にして待っててね』 『……』 え。 大事な事って…その事? と、先輩の言葉に拍子抜けする私。 一体いくつだと思っているんだ。 まるで、小さな子に注意する様な言い方に、少しカチンときた。 『愛也ちゃん?』 『…聞いてます』 そんな私の感情は、無意識に声に出ていた様で、先輩はすぐに反応する。 『今のは俺がいない間、注意して欲しい事だから。 本当に伝えたい事は…』
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