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『次のフランス行きJAL57便にご搭乗のお客様は…』
先輩が乗る飛行機が、アナウンスされる。
出発だ。
『…じゃあね。
時差で電話は難しいけど、普段はメールなら返せるから。
用事がなくても写メールは大歓迎だよ』
『メイク、もっと勉強します!』
『ハハ、そうだね…頑張ってね』
『……』
ついに、その瞬間が訪れたせいか
急激に寂しい気持ちになる。
分かっていても…、軽口も、声も意地悪な言葉も、もうしばらくは聞けないと思うと…寂しいな。
「はあ…」
……あ。
無意識に吐いた、小さなため息にハッとして。
いけない、いけない。
今日は先輩を明るく送り出すって決めたんだから。
『あ。
俺、一番言わなきゃいけない事を言ってなかった』
そういえば。
さっき、本当に伝えたい事は他にあるって…話していたっけ。
『なんだったんですか?』
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