11 彼女

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「びっくりしちゃった。 そっか…先輩、本気なんだね」 「え…」 「…モデルになる前の事、愛也も知ってるよね。 その頃、どんな風に過ごしていたかも」 「……うん」 自然と、目線と共に声のトーンが 落ちる。 前はこういう話題が耳に入ってもなんとも思わなかったのに。 気持ちを自覚した今は、どんなに過去と分かっていても…動揺してしまう。 「分かりやすく…言うよ? 先輩、来る者拒まず去る者追わずで…その…誰に対しても、愛情がなかったんだって。 だから『残さなかった』って。 ただ、愛也には『あった』から。 本気なんだな、って」 「……」 正直、複雑だけれど…話を聞いて胸が熱くなった。 まさか、この痕に、そんな意味があったなんて……。 そっ…と無意識に痕の残る首筋に左手を持っていく。 「……」 先輩のいないところでも、いつも その存在を愛しく感じる。 繋がっている。 そう、思った。
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