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「びっくりしちゃった。
そっか…先輩、本気なんだね」
「え…」
「…モデルになる前の事、愛也も知ってるよね。
その頃、どんな風に過ごしていたかも」
「……うん」
自然と、目線と共に声のトーンが
落ちる。
前はこういう話題が耳に入ってもなんとも思わなかったのに。
気持ちを自覚した今は、どんなに過去と分かっていても…動揺してしまう。
「分かりやすく…言うよ?
先輩、来る者拒まず去る者追わずで…その…誰に対しても、愛情がなかったんだって。
だから『残さなかった』って。
ただ、愛也には『あった』から。
本気なんだな、って」
「……」
正直、複雑だけれど…話を聞いて胸が熱くなった。
まさか、この痕に、そんな意味があったなんて……。
そっ…と無意識に痕の残る首筋に左手を持っていく。
「……」
先輩のいないところでも、いつも
その存在を愛しく感じる。
繋がっている。
そう、思った。
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