2話:部活を作ろう(2)園山 桜

4/4
前へ
/9ページ
次へ
飲み干した缶コーヒーを缶専用のゴミ箱に投げ入れる。 さてどうしたものか… 結構のんびりとしたつもりだったが昼休みはまだ20分弱はある。 しかしここに居ても特にあれは無いため、また目的地が無いまま校内探索へ。 俺は進路指導室や資料室、面談室や保健室とまだ行ったことが無い所を巡り。 職員室前まで来たところである光景が目に入った。 「うわ…何だありゃ」 何かの資料なのか一冊が分厚い本を山のように抱え、ふらふらと蛇行歩行している女子生徒が前を歩いていたのだ。 右に左に、左に右にとふらふら。 あれはとても一人で持てる量じゃないなっ。 俺は小走りで前を歩く女子生徒に近寄り、声を掛けようとした。 そこで初めて気付く。 肩辺りまで伸びた茶が混じった黒髪。 前髪は顔がはっきりと見えるように両側に分け、それぞれに赤いヘアピンが付けられている。 「ちくしょー…こんなか弱い乙女にこんなに持たせるなんてよー」 そしてあの男勝りの言葉遣い。間違いない! 「桜~!」 後ろから声をかけてみると。 「ん?」 と振り返って仏頂面のままこちらを見る。 「……………おっ悠汰!」 「やっぱ桜だったかっ。それ半分持ってやるよ」 「マジで?ありがたや~…っと」 俺は桜の抱えているぶ厚い本を上から半分ちょっと取ってやる。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加