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お母さんが死んだというのに、私は泣けなくて、綺麗な月をただ眺めていた。
しばらく見ていると、雨が止んだ。
正確にいうと、私の所だけが。
訳がわからず上を見上げた。
そこには、傘をさしている男の人がいた。
「あの……「こんな所にいたら風邪引くよ♪」
「いやっあの「あっでも、もうびちょびちょだねぇ~」
エヘヘッと笑う男、誰だ?
「あの…あなたわ?」
男は、笑顔のまま、
「俺夏、森口 夏! 君は?」
「晴香…」
名字も言った方がいいのかもしれないけど…。
「へー晴香ちゃんか!!」
顎に手を当てて、なるほど~ど嬉しそうに笑う。
よく笑う男の人だな。
「あっ、本題忘れてた!!」
いきなり大きな声出すからビックリした。
そんな私に気付いたのか
「あっごめん…驚かせたね。」
そう言ってしょんぼりしている夏さん…可愛くてつい吹き出したら
「笑わないで!そんな事より、こんな所で女の子が何してるの?危ないでしょ!」
急に真面目な顔で言うからびっくりした。
でも、
「あなたに関係無い…。」
そう、関係無い事…。
「関係無いことないでしょ!大雨の中、女の子が一人傘もささないでいるのを、ほっとけると思う?」
「……。」
「何があったか知らないけど、親御さん心配するよ。」
親か……。もう居ないし…。
それに、帰る所も無い…。
「でも、濡れたまんまだと、風邪引くから、俺の家来る?お風呂かすよ?」
「……。」
「あっ、別に変な意味とかじゃなくて…。」
いきなり、アワアワし出す夏さん…。
「~~//とにかく、家行こっか♪」
でも、夏さん格好いいし、彼女いたら申し訳ないな…。
「あっ、あの…夏さんって彼女いないんですか?」
不思議そうな顔をする夏さん。
「フフッいないよ~だから、心配しないで♪」
「あっ…はい…」
「ん、じゃぁ出発!!」
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