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ゆるやかなメロディの流れる店内で、俺の座るテーブルだけに束の間静寂が訪れる。 そしてそれを破る一声は…… 「赦さない」 山口麗香の表情は柔和で声も優しい。だが、その言葉は拒絶するもの。 予想していなかった返答に俺だけでなく隣に座るミキも驚いている。 ミキが気遣ってか山口麗香を宥めようとした、が先に山口麗香が続きを口にした。 「でも、リョーちんが今夜から仲良くしてくれるのなら、考えてもいいけど?」 あくまで優位に立とうとする山口麗香の言葉に、俺は苦笑いしながら答えることにした。 どんだけ根に持ってんだよ。 「ああ、いいよ。今夜から俺とフド…山口さんは友達だ」 「……今、失言しそうになってたけど?」 「いやいや、気のせい気のせい!それより久々の再会を祝して呑もう!」 「そうよレイちゃん!岡崎さんみたいないい男と再会出来たんだからカンパイしなきゃね!」 「まぁ、ミキさんが言うなら……」 渋々といった様子ではあったが、山口さんも先輩であるミキの言葉に従い祝杯を上げた。 そこからはもういつも通り…いや、それ以上の盛り上がりを見せて酒を飲んだ。 久し振りに出会ったフドーさんのこともあり昔話で華が咲いたのもあったが、須藤さんのことでムシャクシャしていたのを晴らすように酒を煽った結果、いつもよりアルコールが回っている。 そうなると、普段話さないことも話してしまうのが人というもの。 そして、それは俺に限った事でなくフドーさんにも言えた事だった。
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