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そんな仕事が上手くいってもスッキリしない日々が一週間程続いた。
一週間も経てば俺の中のもやもやも晴れて行き、須藤さんが来る前の状況に戻った気がしていた。
そう、そんな"気"がしていた。
ある日、休憩中に長澤さんと打合わせを終えて職人が休憩する為の詰所に向かっていると、ふと楽しそうな笑い声が耳に入って来た。
男の声に混じって聞こえるのは須藤さんの声。
何となく詰所に入りづらくなり、扉の窓から中を覗いて見る。
そこには楽しそうな笑顔を振りまく須藤さんと後輩達の姿。
心の中で何かが沈み、重い感情がじわじわと体を蝕んでいくのが分かる。
だけど、認めたくない。
俺が、あんな奴らに――…
俺が、あの娘に――…
自分が今、どんな顔をしているのか分からないが、後輩達に見せられるものじゃないのは確か。
だから俺は踵を返し、一足先に現場に戻った。
何故こんな思いをしなきゃいけないのか。
もどかしくも苛立たしい気分を晴らすように仕事に打ち込んだ。
そしてその日の晩、晴らすことの出来なかった憂さを晴らす為に俺は夜の街に繰り出すことに……
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