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『呑む・打つ・買う』
遥か昔から職人が好きな物と言われるものだ。
休憩中や現場からの行き帰りでは、どこそこの酒が旨いだとか、いい店を見付けたとかの酒の話。
それに博打。パチンコ・スロットから競馬に競輪や競艇と、金に絡むモノなら人前で話せない世界まで職人達は金を注ぎ込む。
そして、買う。
これはスナックみたいな所から本番をする所までの風俗全般の話。
俺も職人の世界に飛び込んだばかりの坊主の時には、一通り連れられてやらされたものだ。
今は博打は辞めて酒は嗜む程度、特に彼女もいないからスナックやキャバクラに行く事に問題はない。
普段はほとんど行かないが、何かむしゃくしゃした時には使ってしまう店へと自然と足が向いていた。
ネオンの輝く夜の世界。
男達はどこか浮かれた表情で下卑た笑い声がそこかしこから聞こえる。
そして、いつもの店の扉を開けた。
落とされた照明に仄かに漂う甘い匂い、この落ち着いた雰囲気がささくれた気持ちを鎮めてくれる。
と、カウンターの向こうにいたママやスタッフ達が俺に気付いて明るい声を掛けた。
「あらぁ、岡崎さん久しぶり」
「あー、岡崎さんだ!」
「どうも、お久しぶりです」
短い挨拶を交わして席に着く。いつも俺の相手をしてくれるミキが嬉々として横に着いた。
そして、ミキの隣には見慣れない新人が。
何かガン見されてるんだけど?俺の顔に何かついてる?
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