1章

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ローイン王国の首都ザース、の東にある街であるブーセ。そこに俺は男として転生した。 転生したと知ったのが生まれてすぐだった。本能のままに母の愛を受けつつ、転生したのか俺……となんとなく思ったのを、覚えている。 神様に会ったのか? と聞かれると、答えはノーだ。トラックにはねられたわけでもない。死因は恐らく心臓発作だ。あれは死ぬほど苦しかった。まあ死んだけども。 最初は首は座っておらず、思考能力もないので大したことはできなかったが、状況把握に努めた。 すると前世とは大違い。なんということでしょう。以前(前世)は科学に頼り、ガスで火を付けていたのですが、自分の手から火を付けているではありませんか。 ま、魔法!? これを見たときは眠れませんでしたよ。たぶん。ワクワクして色々考えてたら朝になってた。 それからは修行の日々だった。一人で歩けるようになるまでは食っちゃ寝の生活だったが、歩けるようになると、一人でこっそり外出していた。言葉は両親に教わったので理解している。なので、近所の少し年上の少年、マーク君に教わることにした。両親はまだ危険だと言って教えてくれなかったのだ。 両親は何故危険かまでは教えてくれなかったが、マーク君は教えてくれた。なんでも「まりょくがあんてーだ!!」ということらしい。 魔力の安定。危険。少し年上のマーク君が教わっている。 この三つのキーワードから、もう少し成長しないといけないことが分かる。 少し、いや、とっても残念に思いつつ、時間はたっぷりあるしいいかと何も根拠なくそう思い、床に就く。 その後は、瞑想をしてみたり、ハァッ! と気合いを込めて手を突き出してみたり。 頭の中でファイアーボールと叫んだのはご愛嬌。 魔力が安定するまで時間があるので、この世界のことを分かる範囲でまとめておこう。 まず我が家についてだが、父は黒に近い茶髪で、前は目にかかる位で横は耳、後ろは肩といった感じだ。自由にのびのびと伸ばしているらしい。体型は細いが引き締まっている。顔は優しいお兄さんといった感じで、少したれている緑の瞳がチャームポイントだ。 名はファウル。 母は薄い金髪で、肩より少し下あたりで切り揃えている。綺麗な二重に髪と同色の瞳。バランスのとれた鼻と口。胸は控えめだが、なかなかの美人さんである。やるじゃねえか親父。 名はシーブ。
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