#1.lucy

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この街の風景の、そこかしこに君がいる。 文房具屋の角の赤いポスト。 青と白の日除けが降りた洋菓子店。 笑っていたかと思えば、 傘をさして1人俯いている。 記憶の中の君。 この坂を下りたところにある小さな本屋で、よく待ち合わせをした。 4年前、僕たちは高校生だった。 疑うことも知らないで、ただ何かを信じていた。 優しいだけじゃ駄目なんだって、知るにはまだ幼くて、 ましてや、厳しさを言い表す術なんて持ち得なかった。 涙は風が運んでいった。 あの日から僕の時間は人よりゆっくり動いているような、そんな気がするんだ。 今年も桜が咲いている。 本屋の向かいに小さな水路が流れている。 その先の堤の上に青いビニールシートが陣取っている。 4年前の今日、やはり桜は咲いていた。
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