プロローグ

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「‥‥‥‥‥リス‥‥ス‥‥‥‥アリス、起きなさい。」 どこからか男の声が聞こえてくる‥‥弱々しい声が‥‥。 (この声は‥‥‥ナイトメア?) 心の中でそう呟くと、すぐに答えが返ってくる。 「そうだよ、アリス。私だ‥‥。」 落ち着いた(?)その声に反応し、ゆっくりと目を開ける。 しかし、目の前には誰もいない。 「ナイトメア?いるんでしょ?でてきなさいよ」 どことはなしに、問いかける。 すると今度は、笑いを含んだ声が返ってきた。 「ダメだよ‥‥‥‥まだ、ダメだ」 「?・・・・どういうこと?」 (普段からわけわからないけど、今回はいつにも増して意味不明・・・) あまりの脈絡のなさに、ため息まで出てくる。 「い、意味不明とはなんだ!意味不明とは!」 「そのままの意味よ。いい加減言葉の勉強したら?ナイトメア」 どこにいても聞こえるように、わざと大げさにため息をつくと案の定焦った声が聞こえてきた。 「な、そ、そんなもの私には必要ない!私は、偉いんだからなっ!」 「偉い人は、人の夢に入ってきて、姿を現さないまま会話したりなんかしないわよ?」 最高に冷たい声でそう言うとナイトメアは、言葉に詰まって、 「っ‥‥‥っげほ、ごほっ‥‥‥‥‥がはぁっ」 ・・・・・・吐血した。 「ちょ、ちょっと大丈夫!」 姿が見えない分いつもより心配になる。 ただでさえ貧血なのに、これ以上血を吐いたら今度こそ‥‥‥死ぬぞ。 「な、死なん!!だ、大丈夫だ!!私は、夢魔だぞ!自分の領域で死ぬわけない!」 今にも倒れそうな声で何を言うか・・・。 しかもそのセリフでは、ここを出れば死ぬと言っているようなものだが。 「う、‥‥そ、それよりも君はそろそろ起きる頃だぞ!」 「(無理やり話題そらしたな・・・)なんで?」 「もうすぐ、新しいゲームが始まる。」 そういうナイトメアの声が、次第に遠ざかっていく・・・。 それと同時に、体が上へと引っ張り上げられる感覚に襲われる。 (ゲーム‥‥‥‥‥?) 「そう、ゲームだ・・・新しい・・・ね」 静かなその言葉を最後に、私は光の中へと飛び込んでいった‥‥‥。 『さぁ、起きるんだ。アリス。新しいゲームの始まりだ‥‥‥‥‥‥。』 意識が夢から現実へと切り替わる瞬間、頭の中でナイトメアのこえが聞こえた・・・。
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