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「も、もしかして今までの声って‥‥‥貴女?」
そう言って私は、恐る恐る下へ視線を下げる。
そして、青く綺麗に咲き誇る薔薇に目を向けた。
『そうよ!・・・全く!こんな綺麗な私に、今の今まで気づきもしないなんて』
青いバラはそう言うと、枝分れした自分の蔓をしならせた。
‥‥‥‥“しならせた”?
「・・・・・・・・・・!!!!????」
『今度は何尻餅付いてんのよ?』
「ば、バラが動いた?」
そう動いたのだ!
人間が、呆れた時に腰に手を当てるように、目の前の青いバラが蔓を茎の部分に‥‥‥!!
『そりゃ、動くわよ。生きてんだもの』
「生きてても!バラは動かないし喋らないわよ!!」
『そりゃよっぽどつまらない国にいたのね』
断じて違う!
お前が特殊すぎるんだ。
そう言いたかったが、我慢した。
なぜかって?決まってる。
これ以上話をややこしくしたくない!!
「こほん‥‥‥ど、どうしてあなたは喋れるのかしら?まずそこから聞かせてもらうわ」
『バラにものを頼む態度じゃないわよ、それ。まあいいわ、私は優しいから教えてあげる』
バラは、威張るように茎をそらした。
どうでもいいが、茎折れるぞ・・・・・。
『私が、しゃべれる理由。それは非常に簡潔だわ。なぜなら
‥‥‥ここがスペードの国だからよ!!』
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