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‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥はああああああ」
長い長~~~~~い沈黙のあとに、私は深い、とてつもなく深~~~~~~~い溜息を吐いた・・・。
『ちょっと!教えてあげたのに何よそのため息は!』
青いバラさんは、自分の腕(蔓?)を前後にブンブン振り回す。
‥‥‥よく折れないものだ。
というか、私の質問の答えになっていない‥‥‥。
やはり、バラに聞いたのが間違いだったのか。
「あのね、バラさん。私が言いたいのはねど「どうして、庭に咲いてる普通のバラがしゃべれているのか‥‥‥ってことだよね」‥‥‥。」
‥‥‥今度は誰だ!!!
何が起きるんだ!
芝生か!?空か!?
半分やけになりつつ上と下を、交互に見比べる。
「ちょっとちょっと、どこ見てるの?僕は目の前にいるじゃない」
「え?‥‥‥きゃっ!?いい、いつの間に?」
下を向いていた、視線を前に向けると、そこには今までいなかったはずの一人の青年が立っていた。
まさに、ここに咲いている青いバラが似合う、凛とした青年。
この世界に来てから、大抵の美形は見慣れてきているけれどその中でも、今目の前にいる彼は群を抜いていた。
シャープな輪郭と切れ長の目そして薄めの唇。ゆるく三つ編みにされた長い黒髪。
一見すると、冷たい感じにも見えるが、ほわんとした笑顔のおかげかあまりそういう印象は見られない。
(?あれ、誰かに似てる?)
初対面のはずなのに‥‥?
咄嗟に浮かんできたのは、自分が仕える屋敷のいつもだるそうにしている主人と、その姉であり麗しくて傲慢な女王の姿だった。
どうして、彼らが浮かんでくるのだろうか。
柔らかそうな彼と二人とでは、だいぶ違うはずなのに‥‥‥。
「大丈夫?なんかボーッとしてるけど?」
ずっと彼を見つめたままつったっている私を、不思議に思ったのか彼が近づいてくる。
「あ、え、いえ、平気ですっ」
慌てて取り繕うが、勢い余ってかんでしまう。
『ふんっ!なに噛んでんのよ。クロスに見惚れてたの?』
バラが、私の方を見上げ自慢げに話す。
(なんで、あなたが自慢げになるのよ‥‥‥というか‥‥‥)
「クロス?それって‥‥‥」
「ああ、僕の名前だよ。クロス=ロイヤルよろしくね」
彼は、そう言って微笑むと手を差し出してきた。
「あ、アリス=リデルです。よろしくお願いします」
戸惑いながら、彼の手をそっと握る。
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