星野達也

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「ちょっと待て。お前は私を見て素通りするのか?」 見つかってしまった。話しかけてきた相手は黒髪のショートカットで、男みたいな口調の新藤翼(しんどうつばさ)だった。 三年になり解放されたが、一年、二年と同じクラスだった。 「あれ新藤。全然気がつかなかったな」 「遠回しにチビと言われてるようにしか聞こえないぞ。それに苗字で呼ばれるのは好かないと言わなかったか?」 「俺がなんて呼ぼうが、俺の勝手だろ」 「いやダメだ。下の名前で呼べ。それよりお前は体育じゃなかったのか?」 自分は下の名前で呼べと言うくせに、俺にはお前呼ばわりか… 「休んだんだよ。それより俺はもう行くぞ」 翼はまだブツブツ言っていたが、俺は無視して教室に向かった。 あいつも意外にモテるって話を聞いた事がある。この学校の男はどんな目をしているのやら。
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