小森美咲

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一組に着いてみて驚いた事があった。もちろん他の女子二人に驚いた訳じゃない。 たしかに二人ともまあまあだが、私には及ばない。 私が驚いたのは一緒にいた男子生徒。第一印象は、素直にいい男だと思った。 この学校で初めて思った事だった。私は進学科で、彼は普通科。面識がなくても不思議ではなかった。 そもそも私は人の顔を覚えるのが苦手だった。だからもしかしたら顔を見るのは初めてではないのかも。 彼は星野達也と名乗った。その時の私の興味は、もう彼にしかなかった。それなのに。 あの小人め。名前はもう忘れたけど、ムカつく。いちいち子供みたいに突っかかってきて。 たしかに私の言い方も悪かったのは認めるけど。 思い出すだけでイライラが甦ってくる。今は忘れないと。 私は今、場所を変えて、本日二度目となる屋上へと来ていた。 ここまで来るのに会話はなかった。後を着いてきただけ。
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