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着いた。相変わらず男子生徒からの視線が私に向けられる。正直、今はウザい。
一組に入り、目的の人物を探す。いた。
「星野君。ちょっと時間ある?」
彼は私の方を見た。何を考えているかわからない。
「悪いな。今日は用事があるから、今から帰るんだ。明日にしてくれないか?」
そんな事を言われてもダメ。私にだって引けない意地があるから。
「時間は取らせないから。ねぇ。いいでしょ?」
上目遣いで彼に聞いた。普通の男ならこれで落ちる。だが、彼は違う。
「無理だ」
キッパリと言われた。なぜ?なぜ彼は思い通りにならない。
しかたない。まだ教室には生徒がちらほらと残っている。アレを使うしかない。
「そんなに…そんなに大事な用なの…?」
今度は泣き真似を使ってみた。もちろん嘘泣きだ。
しかし他の生徒の視線は私達に向いている。
あげく、こそこそと話をしだす、生徒達まで現れた。
さすがにそれには困ったらしく、彼は考え始めた。
「わかったよ。三十分だけな」
「ありがとう。じゃあ行こっか」
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