小森美咲

12/15
前へ
/264ページ
次へ
着いた。相変わらず男子生徒からの視線が私に向けられる。正直、今はウザい。 一組に入り、目的の人物を探す。いた。 「星野君。ちょっと時間ある?」 彼は私の方を見た。何を考えているかわからない。 「悪いな。今日は用事があるから、今から帰るんだ。明日にしてくれないか?」 そんな事を言われてもダメ。私にだって引けない意地があるから。 「時間は取らせないから。ねぇ。いいでしょ?」 上目遣いで彼に聞いた。普通の男ならこれで落ちる。だが、彼は違う。 「無理だ」 キッパリと言われた。なぜ?なぜ彼は思い通りにならない。 しかたない。まだ教室には生徒がちらほらと残っている。アレを使うしかない。 「そんなに…そんなに大事な用なの…?」 今度は泣き真似を使ってみた。もちろん嘘泣きだ。 しかし他の生徒の視線は私達に向いている。 あげく、こそこそと話をしだす、生徒達まで現れた。 さすがにそれには困ったらしく、彼は考え始めた。 「わかったよ。三十分だけな」 「ありがとう。じゃあ行こっか」
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加