君と来年も 仁王

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自分が生まれた1年で、 唯一の日で今日がないと 今まで出会った全ての人に 会えなかったかもしれない。 それぐらい大切な日なのは わかるけど…。 そう言ってまたムスッと 眉根を潜める友人の彼女。 「うん。確かに誕生日は すごく嬉しいよね。 お祝いをしてもらったら 本当に自分は生きてて 良かったって思えるもんね」 俺は少しだけ目を細める。 病気のことがあったから 尚更かもしれないけどね。 と、つけたしてから笑う。 「だよね…。」 しゅん、と 効果音が付きそうなくらい 一気に寂しそうになった表情。 「でも、さ」 「…」 「そんな唯一の日だからこそ 俺は大事な人の隣に1日中 いたいと思うんだけどな?」 ―― 幸村くんはそう言って 私を抱き寄せた。 「えっ、ちょ、幸村く…」 ビックリしてまともな反応が 出来ないうちに今度は 反対側から引っ張られて 後ろから抱き締められる。 「え、」 「幸村。悪いが**はやれん」 「ふふ、大丈夫だよ。 でも、あまりにも**ちゃんが 寂しそうな顔をするなら 奪っちゃうかもね?」 じゃあね、と 妖しく含み笑いをしながら 途中から空気だったブン太を つれて歩いていった幸村くん。 「…すまん」 「別に、雅治謝るようなこと してないじゃん」 こんな風に拗ねて 私もまだまだだな…。 「ほんと、すまん。」 ぎゅっ、と抱き締める力を 少しだけ強くされる。 「…他の女の子、見ないで」 「おう」 可愛い女の子はこの世に 沢山いるんだから。 「私以外の女の子から プレゼント貰わないで」 「全部断った」 そんなもので雅治が 他の子に惚れたら嫌だもん。 「…わがままでごめんね?」 「いんや。俺はそんな お前さんが大好きなんじゃ」 「…ありがとう。 雅治誕生日おめでとう。 大好きだよ」 「ん、ありがとな。俺も」 君と来年も その先もずっと ___
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