白い 仁王

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「あー疲れたー」 ぐったりとした丸井が 首にマフラーを巻きながら ため息をつく。 「つーか彼女もいなくて クリスマスは部活して すごしてましたーとか 悲しすぎねぇ?」 「そーじゃのー」 「まぁ帰ったら家族で パーティーってなってるけど 俺的にはやっぱ好きな奴と すごしたい訳なんだよ!」 「そーじゃのー」 「…なぁ、聞いてる?」 「そーじゃのー」 「ああもう!お前なら同意 してくれると思ったのによ!」 「おーおーそうかそうか どうでもええから早く帰らん? 寒いんじゃが」 「そーっスよ先輩」 「っていうか早く部室から 出てくれないと鍵が 閉められないんだよね」 「極力早くしてくれると 助かるんだがな…?」 俺に同意をする赤也。 にこにこと、だが目は決して 笑っていない幸村。 鍵を持った柳。 その3人(俺を含めて4人)にとてもめんどくさそうな視線を投げつけられて丸井は涙目になりながらとぼとぼと部室を出た。 俺たちもそれを追って 部室をあとにした。 校門までの道を5人で たわいもない話をしながら 歩いていると ふとポケットに入っている携帯が震えだした。 「ん?誰かケータイ なってないっすか?」 「俺じゃねーぞ?」 いつものグリーンアップルの ガムを噛みながら携帯を 確認する赤也。 「俺じゃ。…少しすまんな」 ポケットから取った携帯のディスプレイに表示された名前。 それを見て少しだけ口角が上がるのが自分でもわかった。 .
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