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仁王の電話が終わりブン太はぶつぶつ言いながらも校門へ向かう。
「っていうか丸井先輩クリスマスにこだわりすぎなんじゃないっスか?」
「…どういう意味だよぃ?」
「そうだな。アメリカではクリスマスは基本家族で過ごすものらしいからな」
「でもここは日本だ!」
「…赤也。どうやら丸井はもう駄目らしい」
「どういう意味だよ!?」
そんな馬鹿らしい話を聞きながら俺と仁王は後ろで苦笑いしていた。
ブン太は後ろ向きになって手を頭の後ろで組んみながら歩いていた。
そんな風にしていたら転ぶよと注意しようとしたとき、
「先輩危ないって!人!」
赤也が真っ先に叫んだ。
「ん?え、…うぉぉ!!」
ブン太は校門の陰にいた人に気がつかなくぶつかってしまった。
「大丈夫っスか!?」
「いってー…。ごめん大丈夫か?」
腰を打ったのかブン太は腰をさすりながらぶつかった相手を見る。
「ご、ごめんなさい。私もちゃんと見てなくて…」
顔を上げた相手を見て俺は少しだけビックリした。
「**?」
「あ、精市」
「どうしたんだい?こんなとこで…俺の家で待っててって言っただろう?」
俺は早足で彼女に駆け寄って体を支えて立たせてやる。
「ありがとう。
うん、でも精市そろそろ部活終わるかなーって考えてたら何だか待ちきれなくて…」
眉根を寄せて
困ったように笑う**。
俺はこの顔に弱い。
大方、俺の帰りを待ってそわそわしている**を見かねた母さんが「それなら迎えにいってきたら?」なんて言ったのだろう。
「まぁ仕方ないか…。迎えに来てくれてありがてう、**」
そう言って微笑むと**もふわりと微笑んだ。
「じゃあ俺は**と帰るからここで。じゃあね?」
笑顔で手をふる俺とその隣でお辞儀をする**。
俺は**の手をとって歩き始めた。
ちらりと横を見ると嬉しそうにはにかむ横顔があった。
とてもとても愛しく感じた。
「…なぁ、泣いていい?」
「丸井先輩ファイトっス」
寒くても君がいれば暖かい
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